水面下の形状

中庸な船型

キャリバー・ヨットの特徴は中庸でバランスが良いことです。
例えばロングキールで重排水量型ヨットは全体の重量が重く、帆走性能が悪く(特に風上航)1日の航行距離が少なく、長距離航海に要する日数が多くなる。 必然的に余分な食料、飲料水積載、強度を持たせるための大型の艤装品等、で更に重くなる。
軽排水量ヨットは、逆に、帆走性能が良く1日の航行距離も多い。
しかし、その船型のため、清水や燃料、食料などの積載重量を増加させると、帆走性能は著しく低下します。重量を積載することにより、軽い船体に無理な負荷がかかり、船体強度の安全面に不安が出てくる。

キャリバーヨットはその中間の船型を採用しています。
無理な軽量化はせず、船体に充分な排水量と強度を持たせている。
また風上航、保針性も含め、クルージングには充分な帆走性能もある。
食料や水など、多くの物品を搭載した後も、帆走性能が落ち難い。
これがキャリバーヨットです。

船型

キール

キールは、風上航でも適度な上り角度が確保できる、前後に長めのフィンキールを採用。 キールの縦横比は12%。 この形状は、翼状断面の効率が良く、風上航風下航でも、キール表面を流れる水流がきれいに流れ、風上航、風下航、共に失速が少ないと言われている。

NACA Foil Keel Sections
キール
Width / Length = Thickness Ratio (%)
Moderate Displacement Cruisers require optimum Thickness Ratio of 12%. Anything smaller means the keel will tend to stall when going to windward. Hence tacking angles are forced into the 100? - 110? range.
キール
Optimum NACA 12% Thickness Keel Section: High Lift for Windward Sailing and Low Drag for Offwind Sailing. Tacking Angles of 85? - 90?
キール
Narrow NACA Foil: Tends to stall out. Forcing yacht to fall off when sailing to windard. VMG drops substantially with Tacking Angles of 100? - 110?

フルサイズスケグ付ラダー

そして、舵はフルサイズのスケグ付。
そのメリットは2点。
長距離を航海しても舵軸、舵柱に無理な力がかからない。
最近流行のバランスドラダーは、長い航海をしていると、疲労でダーシャフト(舵軸)やラダーポスト(舵柱)にトラブルを起こすケースも珍しくなく、キャリバーヨットの舵はその可能性は少ない。
Rudder/Skeg Combination
Caliber Rudder/Skeg System Versus Typical Rudder / No Skeg System
ラダー   ラダー
Smooth laminar flow creates strong turning moments   Stalled turbulent flow results in low turning moments
ラダー   ラダー
Equal angle of attacks   Equal angle of attacks

保針性能

細く長い船型、前後に長めのキール、フルサイズのスケグ付舵。
これらの組合せは、空中を飛んでいく弓矢と同じ原理で、帆走中の保針性(直進性)の向上と言う、長距離航海をするヨットにとっては、大きなメリットをもたらす。
その最大のメリットは、長距離航海の必需品でもある、オートパイロット(電気式自動操舵装置)やウィンドベーン(風力式自動操舵装置)にかかる負荷を軽減してくれ、これら自動操舵装置のトラブルのリスクを軽減してくれることである。

Directional Stability Increased with Full Skeg
保針性能