ヨットの楽しみ  
     
 

ハワイ!

ハワイ!
最初にハワイに行ったのは1978年。
自分にとって、初めての大きな航海だった。
使用したヨットは全長9m、排水量3.5トン。全長9mを超えると30%の物品税がかかる時代で、当時としてはやや大型のヨットだった。
航海に費やした時間は48日間。ハワイまで直線距離にして約4000マイル。1日平均84マイル。1人ぽっちの航海は想像していたよりもずっと楽しかったし、孤独感はまったくと言っていいほど感じなかった。
写真でしか見たことのなかったダイヤモンドヘッドを右に見て、わくわくしながらアラワイヨットハーバーに入港。近くのヨットに導かれるまま、水路の突き当たりにあるハワイヨットクラブにもやいを取った。
入港した後で知ったのだが、ハワイヨットクラブは海を渡ってきたヨット乗りには2週間の臨時のメンバーシップをくれる。シャワールームの鍵の保証金のみ必要となるが、2週間分の係留費用は無料で、クラブ内の施設を自由に使わせてくれる。
ちなみにこの時の私の英会話能力は0点。ヒアリングがまったくできなかったので、入国手続き(入管税関検疫)も辞書を引きながら筆談!で何とかクリアーしたくらいだった。
ハワイに到着した日が金曜日。ハワイヨットクラブ恒例のフライデイナイト・ヨットレースが終了し、パーティも始まり、ヨットクラブの中はドンちゃん騒ぎだ。
当時の為替レートは1ドル360円。手持ちの所持金を考えると、うまく食いつないでも約3週間。
金はない!言葉もできない!ハワイには知り合いもいない!おまけに初対面で知らない人と打ち解けられるほどの社交性もない!
この先いったいどうなるのだろう?
外は大雨と雷が一緒になったようなヨットクラブの喧騒。
暗いキャビンの中で、あれほどの不安と孤独を感じたことは、今までになかった。

で?
人生とは何とかなるものだ。
結局ビザを延長して仕事をしながら、ハワイには1年間滞在した。
生活してみるとハワイは自分のライフスタイルにぴったりとはまる場所だった。
まず冬がない。緊張感がない。真面目さがない。
美しい海がある、さわやかな風がある、心癒される空気がある。
乾燥した干草に近い匂いかな?
ホノルルの飛行場に降り立つと、独特のにおいがする。
これを嗅ぐと、自分にとって心地良い場所、ホームポートに帰ってきたような気持ちになる。ハワイとはそんな場所だ。

 



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