ラ・ロッシェル&サンテミリオン

今回の旅行で一番居心地がよかったのが、小さな港町ラ・ロッシェルだ。
その事を松島氏に話したら、なかなか塩気があるね、との事だった。
塩気がある町と言うのがピッタリの表現かも知れない。
今でも時々、華やかなパリやカンヌではなく、ラ・ロッシェルが一番落ち着くのだろうと考えることがある。 いろいろな意味で、自分の物指しにぴったりフィットするのだと思う。 牡蠣や海産物は美味しいし、許されるなら時間を取って、2-3日ゆっくりしたい町だった。

造船所CNBを見学した日、ボルドー郊外の有名なワイン産地、サンテミリオンに行き、1泊した。 サンテミリオンはご存知のように、その小さな古い町並み(歩いて1時間もあれば一周できる)と、延々と続く周辺のブドウ畑をも含め、世界遺産に登録されている。
私はビール1本飲み干すのが難しいほどアルコールに弱い。
酒飲みの友人には生意気だと言われるのだが、ワインとシャンパンだけは飲める、というより大好きだ。 ボルドー、サンテミリオン、現地で本場のワインが飲めると想像しただけで、鼻息が荒くなり、期待に胸が膨らむ。
宿泊したのはサンテミリオン街中のホテル。 夕食とくれば、ここは当然サンテミリオンの赤だろう。 松島氏に頼み込んで、ワインリストの中からやや価格の高いワインを選択してもらった。
結論から言おう。私はウェイターのおっさんにグラスを投げつけてやりたかった。
日本からの観光客だと思って馬鹿にしてんのか、モンコン。
いつまでたっても独特の香りは出てこない。 味は量販店で買った1本2000円のワインと変わりない。 今回の旅行中飲んだワインの中で、ワースト1を進呈したい1本だった。 しかし、一瞬自分の舌が悪いのかな?と疑ってもみた。
同じレストランの隣のテーブルに、日本から来たワイン愛好家のようなグループがおり、 聞こえて来るフランスワインのウンチクに聞き耳を立てていたのだが、今テーブルの上で飲まれているはずのワインに関しては、皆、一言もコメントがなかった。
ワイン愛飲家のテーブルでさえ、まともなワインが出てこなかったのだと解釈している。
サンテミリオンの、とても不幸な3時間だった。
逆に感動したのは、前日のボルドーのホテル。
ワインリストを持ってきたソムリエお勧めのワイン、ボルドーの白。
さっぱりとしているのにコクがあり、これは至福の一杯だった。

サンテミリオンの話に戻ろう。
最初にサンテミリオンの街中を歩いたとき、厳島神社のある宮島のフランス版のような気がした。 神社に向かう参道の両側に土産物屋が並び、たいていの店に、もみじ饅頭を売っている。 サンテミリオンの町並みも、中心に古い教会があり、石畳の道の両側に土産物屋やレストラン。もみじ饅頭屋のようにワイン屋が並んでいる。
悲しい事に、大半のワイン屋はフランス中のワイン、しかも1ケースいくらの、みやげ物用の安物を置いており、ワイン&土産物雑貨屋のような有様だ。 ごく少数ではあるが、サンテミリオン&ボルドーのワインのみ扱っている店もある。
中でもお勧めは、サンテミリオンのワイン生産者が共同で出展しているワインショップ。
年代物のワインも安く、品揃えも豊富。 しかしながら、店員に聞いてみると、この店は海外への宅配してくれない。 かと言って手荷物で航空機内への持込は禁止。 スーツケースに入れるという手もあるが、飛行機の窓から見る限り、機内から運び出されるスーツケースは、路上にごみのように投げ出されている。 残念ながらこの店で買うことは断念した。
フランスワインについて一番意外だったのは、5大シャトーなどのブランド物の高価なワインは、日本国内で買うのも、金額はあまり変わらない。
また空港の免税店。ちなみにフランスの消費税は18%。
私でも知っているような有名なワインやシャンパンの価格は、18%lessのはずのシャルルドゴール空港免税店で買うより、為替の関係もあるが、日本国内の量販店で買う方が安い!
恐るべし、やまやなのだ。