オズモシスとは船齢が古くなった、FRP製の船体を持つ、ヨットボートに、時折見受けられる症状です。
水面下の船底部に、船体を構成するFRP層の上、ゲルコート層の部分に水泡状のふくらみが出てきます。
最初は直径数ミリの小さい状態ですが、時間が経つに従って大きくなります。
オズモシスかどうか見分けるポイントは、その水疱をつぶしてみること。
ゲルコートの水疱をつぶすと、酢のようなすっぱい臭いがし、その下のFRP層が凹んだように侵食されているので、すぐに見分けることができます。
オズモシスが出る時には、1箇所ではなく複数発生します。
このFRPの病変は短期間で急激に進むことはありませんが、自然に治癒することもありません。
時間の経過にしたがって、少しずつ大きくなり、最悪の場合、病変は拡大し、船体FRP部分を貫通し、穴を開けてしまいます。
また、最初は数箇所でも、その数は確実に増えてゆきます。
ですから、根治療法は完全にゲルコートを剥がし、FRPを十分乾燥させ、エポキシコーティングをすることしかありません。
原因はFRP積層時の樹脂にあります。
通常のFRP船体はポリエステル樹脂またはビニエステル樹脂を使用しています。
これらの樹脂は分子レベルでは透水性があり、エポキシ樹脂のように完全防水ではありません。
よって、船齢が古くなると、少しずつゲルコートの層を水分が通過し、船体のFRP部分に到達。
それは少しずつ大きくなり、数も増えてゆきます。
ただ、大半のFRP船体はオズモシスの発生はなく、発生のメカニズムについて決定的な因果関係についてはまだ良く判らないところがあります。
使用する樹脂の状態が良くなかった時。
FRPの船体を積層するときの気象条件、外気の水分が多い時。
このような状態で建造された船は、時間の経過とともに発生するのではないかと言われています。
また、保管場所が水分の多い汽水域の場合も、浸透圧の関係で発生しやすいとも言われています。
ただ、同じ時期に建造された同じ造船所の船でも、発生する船もあれば、まったく無事な船もあります。
オズモシスが見受けられた場合、すぐにでも危険だと言うことはありませんが、いずれどこかの時点で、きちんと修理する必要があります。
オズモシスの修理方法も明記しておきますので、ご参考に。